North Site Rail Side
線路脇の北側住宅

North Site Rail Side
線路脇の北側住宅

東京郊外の分譲宅地に建つ。周囲は徐々に農地から宅地に転用され、30坪程度に区画化された敷地に2階建て住戸が建ち並ぶ。駐車場をつくっているため道路に対しては開放的な建ち方である。この敷地も同じような北側接道の長方形の宅地で、敷地のすぐ横を私鉄が通り、電車が頻繁に往来する。3人の子供がいるご夫婦は、家族の気配が感じられるような暮らしと庭との連続性を望まれた。電車に対しては、線路に面する北側と東西面に窓のない閉鎖的なプランニングにより、防音性能を確保している。唯一の出入口は西側まで建物を寄せ裏面と考え、家族が集まる居間は1階北側に大きく取った。主な採光は2階上部にハイサイドライトを設けて、南側の光を取込んでいる。南側に建物を寄せることで、西側に大きな庭兼駐車場を確保し、北側前面道路、東側駐車場、西側の庭と建物の3方向が開ける配置とした。プランは単純な長方形で、地面から15cm浮くようにスリットを開けている。採光を担う大きなハイサイドライトには庇を付け、夏至の時には直射日光を室内に入れず、冬至には部屋の奥まで陽射しを取り込んでいる。このハイサイドライトは、1階からも十分に空が近く感じられるように、隣地の家屋を避けて空が見える高さに配した。2階から上は家族それぞれの居場所となり、通常はカーテンで仕切り、布団を敷いて寝る暮らし方を想定している。収納以上、部屋以下の納戸がふたつ浮いており、さまざまな使い方が可能となる。書斎やエキスパンドメタルの踊り場に接続したロフトが、屋上テラスに向けて高さを変えながら連続する。直方体の建築のヴォリュームから飛び出した三角形のハイサイドライトは、煙突効果で熱を上部に逃がし、通風にも優れてダイレクトゲインも期待できる。東京郊外の宅地の課題である2階建て住宅の南側から1階リビングへの採光方法としては、ひとつの回答が得られたと考えている。
設計監理:三幣順一/A.L.X.
構造設計:久米弘記(久米弘記建築構造研究所)
施工  :エヌアイ建設
所在地 :東京都府中市
用途  :独立住宅
構造規模:木造2階
述床面積:77.74m2
竣工年 :2014年
写真撮影:鳥村鋼一
掲載誌 :「新建築住宅特集」2015年12月号
Architects: SAMPEI, Junichi /A.L.X.
Structral engineers: KUME, Hiroki
Photographer: TORIMURA, Kouichi
Location: Tokyo, Japan
Structure: Wooden construction ; 2stories
Total floor area: 77.74m2
Completion date: Jun. 2014
Publishing magazine: SHINKENCHIKU JUTAKU TOKUSHU Dec. 2015
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